受け取る配当金の計算:税引後の手取り額を口座区分ごとに求める
- 結論:課税口座の手取り額は「1株配当×株数」から所得税等15.315%と住民税5%を差し引いて求めます。NISA口座なら条件を満たせば配当総額をそのまま受け取れます。
- 理由:上場株式等の配当は支払時に合計20.315%が源泉徴収されます。一方、NISA口座の配当は非課税です(2026年4月1日現在の法令等)。
- 確認点:NISAで非課税にするには受取方式を「株式数比例配分方式」にしておく必要があります。特定口座では、損失との通算で税金が戻る場合があります。
「配当利回り4%」と聞いても、実際に口座へ入るお金は口座の種類や受取方式によって変わります。この記事では、1株配当と保有株数から税引後の受取額を求める手順を、特定口座・一般口座・NISA口座ごとに計算例を使って整理します。税率などの制度は、国税庁タックスアンサーの「令和8年4月1日現在法令等」と、2026年10月時点の金融庁NISA特設ウェブサイトの記載に基づいています。
配当金の受取額を求める基本の計算式
最初に、税金を引く前の配当総額を出します。
- 配当総額(税引前)= 1株あたり配当金 × 保有株数
次に、課税口座では源泉徴収される税額を差し引きます。国税庁によると、上場株式等の配当等(大口株主等が受け取るものを除く)は、所得税及び復興特別所得税15.315%と住民税5%が源泉徴収されます(2026年4月1日現在法令等)。
| 項目 | 税率 | 計算式 |
|---|---|---|
| 所得税+復興特別所得税 | 15.315% | 配当総額×15.315% |
| 住民税 | 5% | 配当総額×5% |
| 合計 | 20.315% | — |
| 手取り額 | — | 配当総額−上記2つの税額 |
ざっくり計算するなら「配当総額×約0.797」で手取り額の目安が出せます。ただ、実際の源泉徴収は所得税等と住民税を別々に計算し、それぞれ円未満の端数を処理します。そのため、目安と実際の入金額が数円ずれることがあります。
なお、1株配当は会社が中間・期末などに分けて支払うことが多く、税金も支払いのたびに計算されます。年間の1株配当から逆算する場合は、回数ごとに分けて計算するほうが実際の入金額に近くなります。配当利回りから1株配当を確認する方法は「配当利回りの計算方法と数字の正しい読み方」で解説しています。
計算例:1株配当50円・300株を保有する場合
ここからは、以下の前提で計算します(数字はすべて仮のものです)。
- 年間1株配当:50円(中間25円・期末25円の2回払い)
- 保有株数:300株
- 年間の配当総額:50円×300株=15,000円(1回あたり7,500円)
課税口座(特定口座・一般口座)の場合
1回あたり7,500円の配当について計算すると、次のとおりです。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 配当総額 | 25円×300株 | 7,500円 |
| 所得税等 | 7,500円×15.315%=1,148.625円 | 1,148円 |
| 住民税 | 7,500円×5% | 375円 |
| 手取り額 | 7,500−1,148−375 | 5,977円 |
年2回受け取るので、年間の手取り額は5,977円×2=11,954円になります。年額15,000円にまとめて計算すると11,953円になり、1円の差が出ます。この差は、支払いごとに端数処理をすることで生じるものです。
NISA口座の場合
金融庁NISA特設ウェブサイトでは、NISA口座で受け取る配当・分配金は非課税と説明されています。したがって、条件を満たしていれば1回7,500円、年間15,000円をそのまま受け取れます。課税口座と比べると、この例では年間3,000円ほどの差になります。
口座区分ごとの違いと注意点
源泉徴収される税率自体は特定口座と一般口座で同じです。違いが出るのは、損失との通算や確定申告の手間です。
| 口座区分 | 配当受取時の税金 | 損失との通算 | 確定申告 |
|---|---|---|---|
| 特定口座(源泉徴収あり・配当受入あり) | 20.315%を源泉徴収 | 口座内の譲渡損失と自動で通算 | 原則不要(選択可) |
| 一般口座など | 20.315%を源泉徴収 | 口座内での自動通算なし | 損失と通算するなら必要 |
| NISA口座 | 非課税(条件あり) | 他の口座と通算できない | 不要 |
特定口座では損失と相殺されて税金が戻ることがある
国税庁によると、源泉徴収ありの特定口座(源泉徴収選択口座)では、「源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書」を提出して、配当をその口座に受け入れることができます。そうすると、同じ口座で出た上場株式等の譲渡損失が配当の額から差し引かれたうえで、源泉徴収税額が計算されます(2026年4月1日現在法令等)。
先ほどの例で、同じ年に同じ口座で5,000円の売却損が出たとします。課税対象は15,000円−5,000円=10,000円となり、税額は所得税等1,531円と住民税500円で合計2,031円です。すでに源泉徴収されていた約3,046円との差額、およそ1,000円が戻る計算になります。いつ還付されるかは金融機関によって違うため、取引している証券会社の説明で確認してください。
一般口座では申告しないと損失と通算されない
一般口座で受け取る配当も、支払時に20.315%が源泉徴収されます。ただし口座内で自動的に損失と通算する仕組みはないため、譲渡損失と相殺したい場合は確定申告が必要です。国税庁は、上場株式等の配当について「総合課税」「申告分離課税」「申告不要」から選べることと、一度選んだ方法は後から修正申告や更正の請求で変えられないことを示しています。申告するかどうかは、所得の全体を見て判断するとよいでしょう。
大口株主等は税率が異なる
発行済株式の一定割合以上を持つ大口株主等が受け取る配当は、上場株式等であっても20.42%(住民税なし)の源泉徴収となり、総合課税の対象になります(国税庁、2026年4月1日現在法令等)。一般的な個人投資家なら、本記事の20.315%で計算して差し支えないことが多いです。
NISAで配当が非課税にならないケース
NISA口座で持っている株でも、受取方式によっては課税されることがあります。金融庁のNISAに関するQ&A資料では、上場株式やETFの配当を非課税にするには「配当を当該金融機関の口座で受領する方法(株式数比例配分方式)」を選んでおく必要があるとされています。
銀行口座で受け取る方式や配当金領収証方式のままにしていると、NISA口座の株でも課税口座と同じく20.315%が差し引かれます。受取方式の種類と変更の手順は「配当金の受取方式の選び方と変更手続き」にまとめています。
また、NISA口座で売却損が出ても、その損失は「ないもの」とみなされ、特定口座などの配当と通算することはできません。非課税というメリットがある一方で、損失を活かせない点はデメリットといえます。高配当株をNISAで保有するときの考え方は「NISAで高配当株を持つ前に知りたい税制と注意点」も参考にしてください。
2027年以降の税率の扱いと計算上の注意
国税庁によると、2027年(令和9年)1月1日以後に生じる所得については、復興特別所得税の税率が1.1%に下がります。あわせて、新たに防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税額の1%相当額)が源泉徴収されます。所得税15%に当てはめると、15%+0.165%+0.15%=15.315%となり、計算上は現行と同じ合計税率になります。ただ、内訳が変わるため、実際の取扱いは支払時点の国税庁の案内で確認してください。
そのほか、計算するときは次の点に気をつけましょう。
- 1株配当は予想値の場合がある:会社予想の配当は、業績次第で増配・減配されることがあります。
- 権利確定日に株を持っている必要がある:受け取れるのは基準日時点で保有している株数分です。
- 外国株式は本記事の計算式がそのまま使えない:現地での課税が別にかかる場合があります。
まとめ
- 課税口座での手取り額は「1株配当×株数」から、所得税等15.315%と住民税5%をそれぞれ差し引いて求めます(2026年4月1日現在法令等)。
- 実際の入金額は、支払いごとの端数処理によって目安と数円ずれることがあります。
- 特定口座(源泉徴収あり・配当受入あり)では、口座内の売却損と通算され、税金が戻る場合があります。
- NISA口座の配当は非課税です。ただし受取方式を「株式数比例配分方式」にしておく必要があります。
- 配当予想の変更や、NISAでは損益通算できない点もあわせて考え、口座の使い分けを判断しましょう。
本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月10日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.1331 配当所得があるとき(配当控除)・申告方法の選択(2026年10月10日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.1476 特定口座制度(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月10日閲覧)
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」(2026年10月10日閲覧)
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「新しいNISA」(2026年10月10日閲覧)
- 金融庁「NISAの概要・Q&A」(Q5 配当の非課税適用の手続き)(2026年10月10日閲覧)
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、正確性・完全性を保証するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。