「睡眠時間は分割しても大丈夫?」「8時間まとめて寝るべき?」そんな疑問をお持ちではありませんか?
忙しい現代人にとって、まとまった睡眠時間を確保するのは難しいもの。「4時間+4時間」のように分割して寝る方が都合が良いと感じる方も多いでしょう。
この記事では、科学的な研究データに基づいて、睡眠は分割すべきかまとめて取るべきかを徹底解説します。
結論:まとめて7〜8時間睡眠が最も健康的
まず結論からお伝えすると、睡眠は分割せずにまとめて取るほうが健康的です。
現在の科学的エビデンスでは、合計睡眠時間が同じであっても、分割睡眠よりも連続した睡眠の方が、心身の健康に良い影響を与えることが明らかになっています。
ポイント
理想的な睡眠時間は6.5〜8時間を一度にまとめて取ること
分割睡眠の科学的な問題点
認知機能の低下が確認されている
2017年の研究では、学生61名を対象に分割睡眠の影響を調査しました。その結果、合計睡眠時間が同じであっても、分割睡眠グループでは成績の低下がみられ、体内時計が遅れて概日リズムに乱れが確認されました。
さらに2018年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校睡眠障害センターのアロン・アビダン博士の研究によると、分割睡眠は総睡眠時間が同じ一括睡眠と比べて疲労回復効果に乏しく、睡眠不足を招くことが報告されています。
分割睡眠による具体的なリスク
合計睡眠時間が同じでも、分割睡眠では以下のようなリスクが報告されています:
- 注意力・記憶力・判断力などの認知機能の低下
- ストレスホルモンの増加
- 心血管疾患のリスク上昇
- 体内時計(概日リズム)の乱れ
7時間睡眠が最も死亡率が低い
2004年の北海道大学大学院公衆衛生学教室による研究では、興味深いデータが明らかになりました。
平均睡眠時間が7時間(6.5〜7.4時間)の群が最も死亡率が低く、睡眠時間が短くなるほど死亡率が上昇することが確認されました:
- 7時間睡眠:死亡率が最も低い(基準)
- 5時間睡眠:死亡率が約1.2倍に上昇
- 4時間未満:死亡率が約1.6倍に上昇
このデータからも、十分な睡眠時間を確保することの重要性がわかります。
覚えておきたいポイント
健康のためには6.5〜8時間のまとまった睡眠が理想的です
6時間睡眠+2時間昼寝はどうなの?
「夜6時間+昼2時間なら合計8時間だから大丈夫では?」と考える方もいるかもしれません。しかし、この方法は推奨されません。
6時間睡眠自体にリスクがある
ワシントン州立大学とペンシルベニア大学の研究によると、6時間睡眠を14日間続けると、2日間徹夜したのと同程度の認知機能低下が起こることが明らかになっています。
2時間の昼寝は長すぎる
さらに問題なのが、2時間という昼寝の長さです。
疫学調査によると、1時間以上の昼寝を習慣的に取っている高齢者では、アルツハイマー病の罹患リスクが2倍になることが報告されています。
一方で、30分以内の昼寝では逆にリスクが6分の1になるというデータもあり、昼寝の時間管理が重要であることがわかります。
科学的に推奨される「パワーナップ」とは
「どうしても日中に眠くなってしまう」という場合、効果的な短時間昼寝(パワーナップ)を活用する方法があります。
パワーナップの正しい方法
時間:15〜20分が最適
20分以上になると深い睡眠に入ってしまい、寝覚めが悪くなります。15〜20分程度であれば、すっきりと目覚めることができます。
タイミング:起床から8時間後
例えば7時に起床する場合、15時頃が効果的なタイミングです。夕方以降は夜の睡眠に影響するため避けましょう。
NASAも認める効果
NASAの実験では、26分間の仮眠で以下の効果が確認されました:
- 認知能力が34%向上
- 注意力が54%向上
短時間の仮眠でも、適切に取れば大きな効果が期待できるのです。
実践のポイント
夜間6〜7時間+昼15〜20分の仮眠という組み合わせが科学的に最も支持されています
例外:夜勤従事者の場合
ただし、すべてのケースで分割睡眠が悪いわけではありません。
広島大学の研究では、夜勤従事者に限っては、90分間と30分間に分けた分割仮眠が、120分間の単相性仮眠よりも眠気や疲労感の低減効果に優れていることが確認されています。
やむを得ない事情で夜間にまとまった睡眠が取れない場合は、専門家に相談しながら適切な睡眠スケジュールを組むことが重要です。
まとめ:健康的な睡眠のために
科学的なエビデンスをまとめると、以下のような睡眠が推奨されます:
- 基本は夜間6.5〜8時間のまとまった睡眠
- 分割睡眠は認知機能低下や健康リスクがある
- 昼寝は15〜20分程度に留める
- 2時間など長時間の昼寝は避ける
- 夜勤など特殊な事情がある場合は専門家に相談
忙しい毎日の中で十分な睡眠時間を確保するのは簡単ではありませんが、健康のためには質の良いまとまった睡眠が不可欠です。
生活リズムを見直し、できるだけ夜間にまとまった睡眠時間を確保できるよう工夫してみてください。どうしても難しい場合は、短時間のパワーナップを上手に活用しましょう。
睡眠の質を上げるために
まずは就寝・起床時間を一定にすることから始めてみませんか?
参考文献
- 2017年学生を対象とした分割睡眠研究 – NewSphere
- 2018年カリフォルニア大学ロサンゼルス校睡眠障害センター研究 – Gussuri
- 2004年北海道大学大学院公衆衛生学教室研究 – Gussuri
- 分割睡眠のリスクに関する研究 – Kameyakagu
- ワシントン州立大学・ペンシルベニア大学共同研究 – 東洋経済オンライン
- 6時間睡眠の影響に関する研究 – ダイヤモンド・オンライン
- 高齢者の昼寝とアルツハイマー病に関する疫学調査 – Halmek
- NASAの仮眠実験 – ダイヤモンド・オンライン
- パワーナップの効果的な方法 – Central Medical Club
- 短時間仮眠の効果 – Kaimin
- 広島大学夜勤従事者研究 – 広島大学
