この記事の結論
  • 結論:高配当ETFは「分散と手間の少なさ」を、個別株は「税制上の選択肢の広さと集中投資の自由度」を買う手段であり、優劣ではなく目的の違いで選ぶべきである
  • 理由:ETFは信託報酬(NEXT FUNDS 1489で年率0.308%・税込)が保有中ずっとかかる一方、50銘柄への自動分散が得られる。個別株はコストが売買時のみで済むが、銘柄選定の労力と1社への集中リスクを自分で負う
  • 確認点:①保有期間中に信託報酬の累積負担が集中投資のリターン差を上回らないか②NISA成長投資枠で非課税にする配当受取方式を設定しているか③個別株で総合課税・配当控除を使う場合の課税所得水準

ETFと個別株、何を比べればよいのか

「高配当株投資を始めたいが、ETFと個別株のどちらがよいか」という質問には、単純な優劣では答えられません。両者は仕組みが異なり、コスト構造・分散効果・税制上の扱いのそれぞれで得意分野が違うためです。高配当株投資の始め方:利回りだけで選ばない基本手順で述べたとおり、個別株投資では配当性向や財務健全性の継続確認が必須になります。この作業をまとめて指数に委ねるのがETF、自分の判断で引き受けるのが個別株という整理がまず出発点になります。

本記事では、国内高配当ETFの代表例であるNEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)と、個別株の例としてオリックス株式会社(8591)の開示情報を使い、コスト・分散・税制の3軸で具体的に比較します。

コスト比較:信託報酬 vs 売買手数料のみ

ETFには保有期間中ずっとかかる信託報酬があります。1489の商品情報(野村アセットマネジメント、2026年8月25日時点)によると、信託報酬は年率0.308%(税込)、連動対象指数は日経平均高配当株50指数(トータルリターン)です。純資産総額は5,519.3億円(同日時点)で、国内高配当ETFの中でも規模の大きいファンドです。分配は年4回(毎年1月・4月・7月・10月の各7日)行われ、直近の分配金実績は100口当たり900円(2026年7月7日支払)でした。

一方、個別株の保有コストは基本的に発生しません。かかるのは売買時の手数料のみで、証券会社によっては国内株の売買手数料を無料化しているところもあります。つまり長期で保有し続ける前提では、個別株のほうが保有コストの累積負担は小さくなりやすい構造です。ただし、この差が意味を持つのは分散を自力で確保できている場合に限られます。1銘柄への集中投資で減配や株価下落に遭えば、信託報酬0.308%の差など簡単に吹き飛びます。コストだけを見て判断するのは早計です。

分散効果:50銘柄自動分散 vs 自分で組む分散

1489は日経225の構成銘柄のうち、配当利回りの高い50銘柄で構成されています。業種の偏りを一定程度抑えつつ、機械的に分散が効くのが最大の利点です。個別で50銘柄を保有・管理するのは個人投資家には現実的でなく、自動リバランスが組み込まれている点はETFならではの価値です。

一方、個別株投資では自分でセクター分散を設計する必要があります。たとえばオリックスのように多角化事業を営む1社に集中すれば、事業ポートフォリオ内である程度の分散効果は得られますが、それでも「1社の経営判断・開示リスク」からは逃れられません。オリックスの有価証券報告書(第63期、事業年度2025年4月1日〜2026年3月31日、2026年6月19日提出)が示す「事業等のリスク」には、資産価値変動リスク・金利為替リスク・M&A投資回収の不確実性が挙げられています。個別株を選ぶなら、こうした一次情報を継続的に読み込む前提が必要です。エネルギー株のように市況連動が大きい業種は特にその傾向が強く、エネルギー株の配当を見るときの市況・埋蔵量・投資計画で解説した業種特性の把握も欠かせません。

税制比較:NISA非課税は共通、配当控除は個別株が有利な場合も

配当・分配金にかかる税率は、ETF・個別株ともに原則20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税)で共通です。新NISA成長投資枠は上場株式・ETFを対象とし、信託期間20年未満のファンドや毎月分配型は除外されます(金融庁「NISAを知る」、2026年8月26日確認)。1489は連動指数が国内株価指数であり、成長投資枠の対象商品として扱われています。NISA口座で保有し、配当受取方式を株式数比例配分方式に設定していれば、ETF・個別株のどちらでも配当・分配金が非課税になります。

差が出るのは課税口座で総合課税を選ぶ場合です。国内上場株式の配当は、確定申告で総合課税を選択すると配当控除が使えます。ETFについても、外国株価指数に連動するものを除く国内株式指数連動型ETFは配当控除の対象になり得ますが、複数の株式や資産を組み入れる仕組み上、個別銘柄ほど単純ではありません。課税所得が低く総合課税・配当控除のメリットが大きい人ほど、個別株を課税口座で持つ選択肢の価値が相対的に上がります。逆にNISA枠を優先して使う設計であれば、この差は表面化しません。

どちらを選ぶかの判断軸

以下の観点で、自分の状況に近いほうを選ぶと整理しやすくなります。

観点ETFが向く場合個別株が向く場合
保有コスト意識信託報酬より分散を優先したい保有コストをゼロに近づけたい
銘柄分析の時間有報を読み込む時間が取りにくい決算・有報を継続的に確認できる
NISA外での税務申告不要で完結させたい総合課税・配当控除を積極活用したい
集中投資への許容度1社の業績変動リスクを避けたい特定業種・企業に強気の見立てがある

なお、ETFと個別株は併用も可能です。コア資産をETFで分散させ、確信度の高い個別株をサテライトとして組み合わせる考え方は、コストと分散のバランスを取りやすい実務的な選択肢です。

まとめ

高配当ETFと個別株は、コスト構造・分散効果・税制上の扱いのいずれも一長一短です。NEXT FUNDS 1489は信託報酬年率0.308%(税込、2026年8月25日時点)を払う代わりに50銘柄への自動分散を得られ、オリックスのような個別株は保有コストがかからない代わりに1社の事業リスクと継続的な情報確認を自分で引き受けます。NISA成長投資枠を使えば配当・分配金の非課税という点でどちらも同じ土俵に立ちますが、課税口座で総合課税・配当控除を活用したい場合は個別株のほうが選択肢が明確です。自分がどこまで銘柄分析に時間を割けるか、どの程度の集中リスクを許容できるかを基準に選ぶことをおすすめします。

本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

出典

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本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、正確性・完全性を保証するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

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