この記事の結論
  • 結論:2027年にNISAで買える額は、2026年12月に売っても2027年1月に売っても同じです。年間の投資枠(つみたて120万円・成長240万円)で決まります。
  • 理由:生涯の上限1,800万円は簿価残高で管理されます。2024年から買い続けても、2026年末の簿価残高は最大1,080万円で、2027年に360万円を買い足しても1,440万円です。上限には届きません。
  • 確認点:売る時期で買える額が変わるのは、早くても2028年末に売って2029年に買う場合です。まず「簿価残高」と「その年の年間投資枠の残り」の2つを確かめてください。
  • 対象:2024年以降の新NISAの枠復活についての説明です。2023年までの旧NISAの非課税期間満了に伴う売却・買い直しは、別に確認が必要です。

年末が近づくと「NISAの枠を来年に戻したいなら、年内に受渡しを終えましょう」という説明をよく見かけます。説明そのものは誤りではありません。ただ、新NISAは2024年に始まったばかりで、2027年の買付にはまだ効きません。金融庁の資料をもとに確かめます。制度の内容は2026年10月27日時点のものです。

NISAの上限は「年間の投資枠」と「生涯の上限」の2つ

金融庁のNISA特設サイトでは、2024年からのNISAの上限を次のように定めています(2026年10月27日確認)。

区分年間の投資枠生涯の上限(非課税保有限度額)
つみたて投資枠120万円合計1,800万円
成長投資枠240万円1,800万円のうち1,200万円まで
合計360万円1,800万円

売った分の枠については、金融庁の説明は「翌年以降、売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活」です。戻るのは生涯の上限の側で、時価ではなく買ったときの金額が基準になります。

その年に買える額は、年間の投資枠(360万円)と生涯の上限の空き(1,800万円-簿価残高)の、低いほうで決まります。

年別の簿価残高:2027年末でも上限に届かない

金融庁のよくある質問によると、非課税保有限度額は「買付け残高(簿価残高)で管理」されます。毎年360万円の年間枠を使い切り、一度も売らなかった人の簿価残高は、最も多くても次のとおりです。

年末簿価残高の最大(合計)成長投資枠分の最大生涯の上限までの空き(合計)
2024年末360万円240万円1,440万円
2025年末720万円480万円1,080万円
2026年末1,080万円720万円720万円
2027年末1,440万円960万円360万円
2028年末1,800万円1,200万円0円

2026年末に枠を使い切っていても、生涯の上限まで720万円の空きがあります。2027年の年間枠360万円を全部使っても上限には届かず、成長投資枠も2027年末で最大960万円です。このため2027年に買える額は年間の投資枠で頭打ちになり、売った分の枠が戻る年は影響しません。

比較表:年末の売却3パターン

簿価100万円分を年末前後に売る場合を比べます。

売り方枠が戻る年2027年に買える額(つみたて)2027年に買える額(成長)生涯の上限への影響
2026年12月に受渡し完了2027年120万円240万円2027年末の簿価残高は1,440万円以下。上限まで余裕あり
12月に約定、受渡しは2027年1月2028年以降120万円240万円同上
2027年1月に受渡し完了2028年120万円240万円同上

3つとも、2027年に買える額は同じです。違いが出るのは、枠が戻る年という帳簿上の記録だけです。

売却年の判定は受渡日を基準にします。商品ごとの受渡日と注文期限は利用先で確認してください。なお、日本取引所グループの休業日一覧では2026年12月31日(木)が休業日で、2026年の東証の最終営業日は12月30日(水)です。

年間の投資枠は戻らない

生涯の上限と違って、年間の投資枠は売っても戻りません。2026年に売ったものを2026年中に買い直すなら、2026年の年間枠の残りを使います。

  • 2026年に成長投資枠240万円を使い切った人は、売った後も2026年中は成長投資枠で買えません
  • 成長投資枠を100万円しか使っていない人は、売った後も残り140万円の範囲で買えます

12月に急いで売っても、その年に使える枠は増えません。年内に買い直せるかどうかは、売る日ではなくその年の年間枠の残りで決まります。

なお、金融庁は令和9年度税制改正要望(2026年8月公表)で「非課税保有限度額の当年中の復活」を求めています。現時点では要望の段階で、決まった制度ではありません。実現した場合も、1年に買える額は年間の投資枠の範囲にとどまると見込まれます。年末の税制改正大綱で扱いが示されるかどうかを確認してください。

売る時期が効いてくるのはいつか

売る時期で買える額が変わるのは、次の条件にあてはまるときです。

  • 合計:その年末の簿価残高+翌年の買付予定 > 1,800万円
  • 成長投資枠:その年末の成長投資枠の簿価残高+翌年の成長投資枠の買付予定 > 1,200万円

上の表のとおり、毎年使い切っても2028年末にようやく1,800万円(成長は1,200万円)に届きます。2028年に360万円を買っても合計はちょうど1,800万円で、上限を超えません。年末の売却が翌年の買付額を左右するのは、早くても2028年末に売って2029年に買う場合です。その頃に簿価残高が上限近くまで来ていれば、受渡しが年内に終わるかどうかを確かめる意味が出てきます。

自分の数字で確かめる2つ

計算に使う数字は2つだけです。

  1. 簿価残高(生涯の上限の利用額):1,800万円(成長は1,200万円)までの空きを見ます
  2. その年の年間投資枠の残り:つみたて120万円・成長240万円から、使った分を引いた額です

楽天証券の公式ガイドを例にすると、確認できる画面は次のとおりです(2026年10月27日確認)。

画面確認できること注意点
NISA投資額年間投資枠の「利用済」「利用予定」「残り」利用済には注文中の金額も入る。積立設定の予定額も残りから引かれる
NISA年間投資額(年切替タブ)年ごとの投資額12月1日0時に翌年のタブが表示される
NISA生涯投資枠1,800万円の利用状況他社へ口座を移した場合などは表示されない
取引履歴受渡日・受渡金額2024年1月以降の受渡日から表示

画面の「残り」は、利用予定を含めて引いた額です。たとえば年間枠の残りが140万円でも、積立の予定が40万円あれば、画面上の残りは100万円になります。年内に買い直せる額を考えるときは、次の順で分けて見てください。

  1. 「利用予定」に入っている積立や注文中の金額を確かめる
  2. 取引履歴で、実際に買付が済んだ額(制度上の買付済額)を確かめる
  3. 予定分を止めるか残すかを決めてから、「残り」を読み直す

楽天証券のガイドには、手数料のかかる取引では手数料分がNISA枠の利用にならないことも書かれています。他の金融機関でも、呼び方は違っても同じ項目が見られるはずです。

まとめ

  • 2027年の上限:2027年に買える額は年間の投資枠(つみたて120万円・成長240万円)で決まり、12月に売っても1月に売っても変わりません
  • 年内の買い直し:年間の投資枠は売っても戻りません。売った年に買い直せるかどうかは、その年の残り枠で決まります
  • 確認項目:「簿価残高」と「年間投資枠の残り」の2つです。残りは利用予定を引いた表示なので、取引履歴の買付済額と分けて見てください

ここまでの説明は2024年以降の新NISAが対象です。旧NISAの非課税期間満了に伴う売却・買い直しは、口座のある金融機関で別に確認してください。新NISAについては、枠の都合で売り時を急ぐ必要はありません。年間の投資枠と生涯の上限の関係は「NISAの上限は『年間の投資枠』と『生涯の上限』の2つ」と「年間の投資枠は戻らない」の章、受渡日の扱いは「比較表:年末の売却3パターン」の章で確かめられます。

補足として、売るかどうかは保有している理由が今も成り立つかで考えてください。判断の材料は保有高配当株を売却候補にする判断チェックリストにまとめています。売った資金をどう配分し直すかは1銘柄にいくらまで入れるか:配当ポートフォリオの上限の決め方、長い目で見た取り崩しの考え方は配当株投資の出口戦略:取り崩しと配当収入のバランスも参考になります。

本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

出典

免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、正確性・完全性を保証するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

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