リコーリースと芙蓉総合リースの配当比較【2026年】特別配当と配当性向の違い
リコーリースの2027年3月期の配当予想は256円で、内訳は普通配当186円+特別配当70円です。芙蓉総合リースは172円、予想配当性向32.3%で、中計の目標「2027年3月期に配当性向32%以上」に沿っています。2社の配当性向はどちらも66%台(リコーリースは2027年3月期予想の66.3%、芙蓉総合リースは2026年3月期実績の66.1%)ですが、上がった理由はリコーリースが特別配当、芙蓉総合リースが減益と異なります。
比較表:通常配当・特別配当・目標年度を分ける
| 項目 | リコーリース | 芙蓉総合リース |
|---|---|---|
| 方針の中心 | 累進配当(1円以上) | 配当性向の水準目標 |
| 数値目標と対象年度 | 配当性向の新目標はなし(旧目標は特別配当で前倒し達成と整理) | 2027年3月期に配当性向32%以上 |
| 期間限定の追加還元 | 特別配当:2027年3月期から6期連続で実施予定。2027年3月期予想は70円、26-28中計の指標も70円。2030〜2032年3月期の年額は今回の資料では確認できません | 確認した資料には記載なし |
| 資本構成の条件 | 自己資本比率15%程度、格付A+以上 | 自己資本比率13〜15%(2027年3月期目標) |
| 2026年3月期の実績(連結) | 185円、配当性向44.5% | 158円、配当性向66.1% |
| 2027年3月期の予想(連結) | 256円(普通186円+特別70円)、配当性向66.3% | 172円、配当性向32.3% |
※実績と予想は各社の決算短信(リコーリースは2026年5月8日、芙蓉総合リースは2026年5月12日公表)によります。どちらの予想も第1四半期決算短信(2026年7月31日・7月30日)の時点で修正されていません。方針は2026年10月28日時点で確認できた開示に基づきます。
リコーリース単独の収益構造や増配余力は「リコーリースの配当は継続できるか:リース事業の収益構造と増配余力」で扱いました。本記事では、2社の方針文の書き方と、方針が適用される条件の違いに絞って比べます。
2社の方針文を並べる
リコーリース:累進配当に6期連続の特別配当を加える
「26-28中期経営計画」(2026年5月8日公表)には、株主還元方針として次の内容が書かれています。
- 成長投資と分配で持続的な事業成長を実現し、適正な資本構成のもとで安定的な株主還元を目指す
- 累進配当を基本方針とし、創業50周年を機に2026年度から6年間(26-28中計と29-31中計)、追加の還元を行って財務レバレッジを適正な水準に近づける
- 32-34中計以降(2033年3月期以降)は、特別配当を含む水準で累進配当を続けることを目指す
26-28中計の経営指標には「累進配当1円以上」「特別配当70円」と明記されています。70円は26-28中計の指標で、29-31中計にあたる2030〜2032年3月期の年額は、今回確認した資料では示されていません。2033年3月期以降の方針も「目指す」とされた目標で、配当額の保証ではありません。
旧中計の目標(配当性向を2026年3月期に40%以上、2030年3月期に50%を目安)は、特別配当によって「前倒しで達成する」と整理されています。
注意したいのは、同社の「配当金情報」ページです。2026年10月27日に取得した時点でも、方針文は旧中計の「2026年3月期に40%以上、2030年3月期に50%を目安」のままでした。現行の方針は中計資料と決算短信で確認する必要があります。
芙蓉総合リース:最終年度の配当性向を目標にする
芙蓉総合リースは、2025年3月28日の中計アップデート資料(12ページ)で配当性向の水準を見直しました。従来は「2026年度に配当性向30%以上」でしたが、新方針では「32%以上(当初見通し比+2pt)」を目指します。理由として、収益基盤と財務基盤の強化が進んだことを挙げています。同資料は今後の取り組みとして「成長投資とのバランスを踏まえた配当性向水準の向上」も掲げています。
株主還元の基本方針は、長期的・安定的な利益還元と、株主資本の充実を両立させるという内容です。今回確認した資料には、「累進配当」という言葉も特別配当の予定も出てきませんでした。また、中計の対象期間は2027年3月期までです。後継の中計や2028年3月期以降の配当目標は、確認した範囲では公表されていませんでした。
配当性向の数字を分解する
リコーリースの256円を分解する
2027年3月期の配当予想は、中間・期末ともに「普通配当93円+特別配当35円」の128円です。年間では普通配当186円、特別配当70円になります。普通配当は前期実績の185円から1円の増加で、指標の「累進配当1円以上」と一致します。
配当性向66.3%は、予想EPS 386.06円に対する256円の比率です。普通配当だけで計算すると186円÷386.06円で約48.2%です。66.3%と48.2%の差は、特別配当で上がった分です。
なお、中計は2029年3月期の1株配当を258円と見通しています。今回確認した資料では、その普通配当と特別配当の内訳は分かりませんでした。
芙蓉総合リースは株式分割の前後に注意する
芙蓉総合リースは2025年4月1日付で普通株式1株を3株に分割しました。2025年3月期の配当455円は分割前の金額で、分割後の基準に直すと約151.67円(455÷3で計算)です。2026年3月期の158円と比べるときは、この調整後の数字を使います。
2026年3月期の配当性向66.1%は、純利益が前期比52.4%減の215億円になった年度の実績です。利益が減っても配当は増やしたため、実際の利益に対する配当の負担が重くなったことを示しています。特別配当で上がったリコーリースの66.3%とは、上がった理由が違います。
この66.1%は減益年度の実績で、目標年度の予想32.3%(予想EPS 532.14円)とは利益水準も年度も異なります。比べるときは、利益水準と年度をそろえる必要があります。32.3%は、予想どおりの純利益480億円(前期比122.6%増)を達成できることが前提の数字です。配当予想を据え置いたまま利益が予想に届かなければ、配当性向は32.3%より高くなります。
事業構成と資金調達の違い
方針の違いには、2社の事業構成の違いも表れています。
リコーリースは、販売会社と組むベンダーリースを中核に置いています。中計では、「ベンダー&カスタマーソリューション」「BPO&サービス」「環境・不動産」の3事業に組み直す予定です。同社は課題として、財務レバレッジが低いために資本効率が伸び悩んでいることを挙げています(2026年3月期の財務レバレッジは6.1倍、ROEは5.4%)。特別配当は、この自己資本を株主に戻す手段として位置づけられています。一方で、「金融機関の傘下にない当社グループ」が一定以上の格付を保つには、相応の株主資本が要るとも書いています。
芙蓉総合リースは、不動産と航空機の「グロウイングパフォーマンス」を中核事業としています。中計の見直し後の計画では、この分野が2027年3月期の経常利益750億円の4割強を占める構成です。目標は自己資本比率13〜15%とROE10%以上で、配当性向の引き上げも成長投資との釣り合いの範囲内で進める位置づけです。
| 項目(2026年3月期末、連結) | リコーリース | 芙蓉総合リース |
|---|---|---|
| 総資産 | 1兆4,655億円 | 3兆8,437億円 |
| 自己資本比率 | 16.5% | 13.1% |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | +708億円 | +1,717億円 |
※出典は各社の2026年3月期決算短信。
どちらも営業キャッシュ・フローはマイナスで、営業資産の積み増しを借入などの外部調達で支えています。リコーリースは、自己資本比率が目標の15%程度を上回る分を還元に回せる構図です。これに対して芙蓉総合リースは、自己資本比率が目標レンジの下限に近い水準にあります。
リスクとして見ておく点
- リコーリースの2027年3月期の業績予想は、営業利益が前期比14.7%減、純利益が7.2%減です。中計は2026年度に2回の利上げを想定し、営業利益の伸びを抑える計画です
- リコーリースの特別配当は6期連続の実施予定ですが、金額が示されているのは26-28中計の70円までです。2030〜2032年3月期の年額は、今回の資料では確認できません
- 2033年3月期以降の「特別配当を含む水準での累進配当」は目指す方針で、保証ではありません
- 芙蓉総合リースの方針は2027年3月期の目標で、それ以降の水準はまだ分かりません
特別配当の読み方は「特別配当・記念配当を通常配当と分けて見る方法」で詳しく扱っています。同業の方針と比べたい場合は「東京センチュリーの配当は継続できるか」も参考になります。
まとめ:次の決算で確認する3項目
2社の違いは、配当性向が「特別配当で上がった」のか「減益で上がった」のかにあります。次の決算短信が出たら、次の順番で確認します。
- 配当内訳の変更:リコーリースの普通配当186円・特別配当70円の内訳が変わっていないかを見ます。決算短信のサマリー情報(冒頭)にある「配当の状況」欄で確認できます(リコーリース決算短信の一覧)。方針そのものは中計資料の29ページと35ページにある株主還元の記載と見比べます(26-28中期経営計画)
- 利益予想と配当性向:芙蓉総合リースの純利益予想480億円と予想配当性向32.3%が修正されていないかを見ます。同じくサマリー情報の「連結業績予想」と「配当の状況」欄です(芙蓉総合リース2026年3月期決算短信、決算短信の一覧)。リコーリースも、普通配当だけの配当性向(186円÷予想EPS)を計算し直します
- 後継中計の対象年度:芙蓉総合リースは、2028年3月期以降の配当目標を示す後継中計が出たかを確認します。今の目標は中計アップデート資料の12ページです(Fuyo Shared Value 2026 Update)。リコーリースは、29-31中計で2030〜2032年3月期の特別配当の年額が示されるかを確認します(株主還元方針変更のお知らせ)
本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
出典
- リコーリース「26-28中期経営計画」(2026年5月8日公表)
- リコーリース「株主還元方針変更のお知らせ」
- リコーリースIR「配当金情報」(2026年10月27日取得)
- リコーリースIR「決算短信」:2026年3月期 決算短信(2026年5月8日)、2027年3月期 第1四半期決算短信(2026年7月31日)
- 芙蓉総合リース「中期経営計画 Fuyo Shared Value 2026 Update」(2025年3月28日公表)
- 芙蓉総合リースIR「決算短信」:2026年3月期 決算短信(2026年5月12日)、2027年3月期 第1四半期決算短信(2026年7月30日)
- 芙蓉総合リース「株主還元と株式の状況」(2026年10月27日取得)
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、正確性・完全性を保証するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。