この記事の結論
  • 結論:SOMPOホールディングスは2025年度に修正連結利益5,352億円・連結当期利益6,400億円といずれも過去最高を更新し、2026年度は1株当たり配当200円(13期連続増配)と上限690億円の自己株式取得を打ち出しているが、2025年度の利益には自然災害の少なさという一過性要因が含まれる。
  • 理由:修正連結利益の増加分2,118億円のうち、国内損保+959億円・海外保険+1,055億円が中心で、会社自身が一過性要因を△977億円と見積もっており、2026年度の連結当期利益予想は4,900億円と前年から減益を見込んでいる。
  • 確認点:還元原資である「修正連結利益(直近3年平均)の50%」と「政策株式売却損益等(税後)の50%」がどこまで続くか、Aspen買収後の海外保険の採算とESR(2026年3月末270%)の推移を、四半期ごとの決算短信・適時開示で確認する必要がある。

SOMPOホールディングスはどんな会社か

SOMPOホールディングス(東証プライム:8630)は、損害保険ジャパンを中核とする3メガ損保の一角です。有価証券報告書(第16期、2026年6月17日提出)によると、2026年3月末時点の従業員数は55,702人、総資産額は18兆6,037億円となっています。

グループの事業は大きく、国内損保事業と海外保険事業からなるSOMPO P&Cと、国内生保事業・介護事業等からなるSOMPOウェルビーイングに分かれます。2025年度(2025年4月〜2026年3月)から連結財務諸表はIFRSベースで開示されており、日本基準の「経常利益」ではなく「保険収益」「当期利益」で業績を読む点が、以前の開示との大きな違いです。

同じ損保セクターの比較対象としては、東京海上ホールディングスの保険収益と資本政策を分析するとMS&ADインシュアランスグループの収益構造と株主還元を分析するを並べて読むと、3社の海外比率や還元方針の違いが見えやすくなります。

2025年度決算の実績:修正連結利益5,352億円と過去最高益

2026年5月20日公表の2025年度通期決算説明資料および有価証券報告書によると、2025年度の連結業績は次の通りです。

項目2024年度2025年度増減
保険収益5兆655億円5兆3,729億円+3,074億円
連結当期利益(親会社所有者帰属)2,431億円6,400億円+3,969億円
修正連結利益3,234億円5,352億円+2,118億円
基本的1株当たり当期利益250.90円701.03円+450.13円
親会社所有者帰属持分利益率(ROE)5.8%13.7%+7.9pt

修正連結利益は保険会社の実質的な稼ぐ力を示す同社独自の指標で、5,352億円は過去最高です。会社は年初予想対比で+1,722億円の上振れとし、その主因を国内損保のベース収支改善と国内外の自然災害の減少と説明しています。

損保事業の収益構造:海外が国内を上回る利益構成

修正連結利益をセグメント別に見ると、収益の重心がどこにあるかがはっきりします。

セグメント2024年度2025年度2026年度(予想)
国内損保事業1,235億円2,194億円1,800億円
海外保険事業1,597億円2,653億円2,800億円
国内生保事業570億円613億円610億円
介護事業等92億円128億円140億円

2025年度時点で海外保険事業の利益が国内損保事業を上回っており、2026年度予想ではその差がさらに広がります。国内損保の増益(+959億円)は火災保険・新種保険のベース収支改善(+700億円)と自然災害影響の減少(+260億円)が中心で、海外保険の増益(+1,055億円)も自然災害の減少(+580億円)が最大の要因でした。

引受採算の目安であるコンバインド・レシオ(損保ジャパン、日本基準・除く自賠責/家計地震)は、2025年度実績が93.9%と好調でしたが、自然災害の少なさを均した平年値ベースでは97.0%です。2023年度99.3%、2024年度98.9%からの改善傾向は本物と見られる一方、実績値だけを見ると採算改善を過大評価しやすい点は注意が必要です。

資本政策と株主還元:200円配当と690億円の自己株式取得

同社の株主還元方針は、基礎還元として修正連結利益(直近3年平均)の50%、これに加えて原則として政策株式売却損益等(税後)の50%を追加還元するというものです。さらに、リスクと資本の状況を踏まえた資本水準調整も検討するとしています(2026年5月20日公表の適時開示による)。

項目内容(基準日・公表日)
2025年度の総還元額2,816億円(配当1,356億円+自己株式取得1,460億円、2026年5月20日公表)
2025年度の1株当たり配当150円(中間75円+期末75円、基準日2026年3月31日)
2026年度の配当予想200円(中間100円+期末100円、対前年+33%、13期連続増配予想)
配当性向(3年平均修正連結利益ベース)2025年度34%→2026年度予想39%→中期的視点50%
自己株式取得上限1,700万株・690億円(発行済株式の1.90%)、取得期間2026年6月2日〜11月18日

自己株式取得690億円の内訳は、基礎還元354億円と追加還元336億円です。追加還元の原資は政策保有株式の売却益であり、この部分は恒久的な還元原資ではありません。政策株式の削減は2025年度に2,924億円(当初計画2,000億円以上、11月時点予想2,500億円)と計画を上回るペースで進み、2026年度も2,500億円以上を目指すとしていますが、上場政策株式の残高は2026年3月末で1.2兆円まで縮小しており、いずれ追加還元の原資は細っていく構造です。

資本の健全性を示すESR(経済価値ベースのソルベンシー比率)は2026年3月末で270%と、前年同月末の256%から14ポイント上昇しました。Aspen買収により△15ポイントの押し下げがあった一方、政策株式の削減(+11pt)や利益の積上げ(+24pt)が上回った形です。同社はターゲット資本水準を200%以上に設定しており、2026年3月末時点では追加還元の余地がある水準といえます。

なお有価証券報告書によると、2025年度の株価レンジは最高6,302円・最低3,716円でした。この範囲に2026年度の配当予想200円を当てはめると、単純計算の配当利回りは約3.2%〜5.4%に相当します(株価は市場データのため、投資判断時は直近の株価で再計算してください)。

2026年度予想と第1四半期の進捗

2026年度(2027年3月期)の会社予想は、修正連結利益5,000億円、連結当期利益4,900億円です。連結当期利益は2025年度の6,400億円から△1,500億円の減益予想ですが、これは主に前年度の一過性要因(国内△546億円、海外△431億円の自然災害・大口事故の減少影響の剥落)と市況変動要因の反動によるものです。平年値ベースの修正連結利益で比較すると4,375億円→5,000億円と+624億円の増益であり、実力ベースでは増益を見込んでいるという整理になります。増益要因の柱は、2026年2月に買収を完了したAspen社の通期連結効果(+450億円)です。

2026年8月14日公表の2027年3月期第1四半期決算短信(2026年4月1日〜6月30日)では、保険収益1兆6,169億円(前年同期比+28.0%)、親会社所有者に帰属する四半期利益1,811億円(同+52.8%)、1株当たり四半期利益203.14円と好スタートを切りました。通期予想4,900億円・配当予想200円はいずれも修正なしで据え置かれています。四半期時点で通期予想の約37%に達しており、進捗は順調ですが、損保の四半期利益は自然災害の発生時期に大きく左右されるため、台風シーズンを含む下期の開示まで判断を保留する姿勢が現実的です。

投資判断のポイント:強気材料とリスク

強気材料

  • 修正連結利益・連結当期利益ともに過去最高を更新し、ROEは13.7%(2025年度)まで改善
  • 13期連続増配予想と配当性向を中期的に50%まで引き上げる方針を明示しており、還元の方向性が読みやすい
  • ESR270%(2026年3月末)はターゲット200%を大きく上回り、追加還元・成長投資の両方に余力がある
  • 政策保有株式の削減が計画を上回るペースで進み、資本効率の改善余地が残っている

リスク・確認すべき点

  • 2025年度の利益は自然災害の少なさという一過性要因を約977億円含み、同水準の利益が続く前提では見ない方がよい
  • 追加還元の原資は政策株式売却益であり、残高(2026年3月末で上場分1.2兆円)の減少とともに縮小する性質のもの
  • 海外保険の利益比率が国内損保を上回り、Aspen統合後の再保険市況・PMI・為替(2026年度予想は1ドル159.88円前提)の影響を受けやすい
  • 国内損保はインフレによる事業費増(2026年度△110億円想定)が採算改善を一部相殺する
  • 2026年度の連結当期利益は減益予想であり、会計上の利益だけを見ると業績悪化と誤読しやすい

これらは判断材料の整理であり、株価の上昇や配当の維持を保証するものではありません。

まとめ

SOMPOホールディングスは2025年度に修正連結利益5,352億円、連結当期利益6,400億円といずれも過去最高を更新し、海外保険事業が国内損保事業を上回る利益源に育ちました。株主還元では基礎還元(修正連結利益3年平均の50%)と政策株式売却益による追加還元を組み合わせ、2025年度は総還元2,816億円、2026年度は1株当たり配当200円と上限690億円の自己株式取得を予定しています。一方で2025年度の好業績には自然災害の少なさという一過性要因が含まれ、2026年度の連結当期利益は減益予想です。平年値ベースの利益、コンバインド・レシオ、ESR、政策株式の残高という4点を、四半期ごとの決算短信・決算説明資料・適時開示で継続的に確認することが、この銘柄を見るうえでの実務的な作業になります。本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

出典

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本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、正確性・完全性を保証するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

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