この記事の結論
  • 結論:個人向け国債の初回利子は、発行日から初回利払日までの期間に応じた日割りの額です。2回目以降は「額面×年率÷2」で計算します。
  • 理由:財務省は2016年4月募集分から、実際に持っていた期間に見合う額を初回に支払う方式へ切り替えました。発行日が15日以外になると、その分だけ初回利子は半年分より少なくなります。
  • 確認点:発行条件に載っている利率は年率なので、1回に受け取る額とは違います。発行日・初回利払日・税引前か税引後かの3点を、財務省の発行条件で確かめてください。

「債券の配当金」ではなく利子:1回に受け取る額は年率のおよそ半分

「国債の配当金はいくら?」と調べる方は少なくありません。ただ、個人向け国債で受け取るのは利子で、株式の配当とは別物です。配当は企業の利益から出るため、額が業績や配当方針で変わります。個人向け国債の利子は、財務省が公表した計算式と利率で額が決まります。受け取り方や課税の違いは「債券の利子と株式の配当をどう組み合わせるか:受け取り方と課税の違いから考える」で詳しく扱っています。

まず押さえたいのは、発行条件にある利率が年率だという点です。個人向け国債の利払いは年2回なので、2回目以降に1回で受け取る額は財務省の説明で「額面金額×適用利率(年率)÷100×1/2」です。利率2%なら、1回の受取額は額面の約1%(税引前)になります。

利払日は原則として、毎年の発行月と、その半年後の月の15日です。例外として、変動10年の第1回〜第12回債だけは10日が利払日です(財務省「個人向け国債の金利についてのよくある質問」、2026年10月22日取得時点)。

初回利子の計算式:発行日から初回利払日までの日割り

財務省のよくある質問では、初回利子を次の式で計算するとしています。

> 額面金額×適用利率(年率、%)/100×(1/2−初回利払日の6ヵ月前の日の翌日から発行日までの日数/365)

かっこ内の「初回利払日の6ヵ月前の日の翌日から発行日までの日数」を、財務省は2016年の発表で未発行期間と呼んでいます。発行日が15日なら未発行期間は0で、初回利子は2回目以降と同じ半年分になります。発行日が16日以降にずれると、ずれた日数分を365で割った割合だけ初回利子が減ります。

項目初回利子2回目以降の利子
計算対象発行日〜初回利払日前回利払日〜今回利払日(半年)
計算式額面×年率÷100×(1/2−未発行期間/365)額面×年率÷100×1/2
税金受取時に20.315%を差し引き同左

税金については、国債の利子は受取時に20.315%が差し引かれ、実際の入金額は上の計算より少なくなると財務省は説明しています。マル優・特別マル優の対象になる方は非課税にできる場合もあります。対象になるかは税務署などで確認してください。

2016年4月募集で何が変わったか

財務省は2016年4月6日、初回利子の計算方法を変えると発表しました。

  • 2016年3月募集(4月発行)分まで:発行月の6か月後の15日に、一律で6か月分の利子を支払っていました。発行日が15日以外だと実際の保有期間は6か月に届かないため、足りない日数分の利子相当額を購入時に払い込む必要がありました。財務省の例では、2015年10月募集分は発行日が2015年11月16日、初回利払日が2016年5月15日で、1日分を購入時に払い込む形でした。
  • 2016年4月募集(5月発行)分から:発行日から初回利払日までの実際の保有期間に見合う利子を支払う方式になりました。同じ例でいうと、2016年5月16日発行・同年11月15日初回利払いの場合は、未発行期間を1日として初回利子が計算されます。購入時の払い込みはなくなりました。

古い銘柄を持っている方は注意が必要です。購入時に初回利子の調整額を払い込んだ銘柄には、中途換金のときに中途換金調整額からその分を差し引く取り扱いがあると、財務省の商品性のよくある質問に書かれています。保有銘柄の募集月によってルールが違うことを覚えておいてください。

2026年10月募集分で初回利子を試算する

財務省が2026年10月7日に発表した発行条件をもとに、額面100万円の場合の初回利子(税引前)を計算してみます。端数処理は取扱機関によって違うことがあるため、ここでは円未満を切り捨てた概算で示します。

前提(2026年10月募集分)

  • 募集期間:2026年10月8日〜10月30日
  • 発行日:2026年11月16日
  • 利払日:毎年5月15日と11月15日
  • 初回利払日:2027年5月15日

初回利払日の6か月前の日は2026年11月15日なので、その翌日の11月16日から発行日の11月16日までが未発行期間となり、日数は1日です。2016年発表の例(11月16日発行・1日分)と同じ数え方です。

銘柄(2026年10月募集)利率(年率)半年分の利子初回利子(試算)
変動10年 第199回2.05%(初回のみ)10,250円約10,193円
固定5年 第187回2.39%11,950円約11,884円
固定3年 第197回2.07%10,350円約10,293円

変動10年の場合は、1,000,000×2.05÷100×(1/2−1/365)で約10,193円になります。半年分との差は1日分の約56円です。

比較のため、2026年9月募集の変動10年 第198回(発行日2026年10月15日、初回の適用利率は年率1.95%)も見ておきます。こちらは発行日が15日なので未発行期間は0で、初回利子は半年分の9,750円(税引前)です。

試算の読み方として、次の点に注意してください。

  • 変動10年の利率は初回分だけが確定しています。財務省の発行条件ページによると、基準金利を決める月は毎年4月と10月です。第199回の2回目以降の利率は、まだ決まっていません。
  • 財務省は税引後の利率も公表しています(第199回の初回は年率1.6335425%)。ただし、実際の入金額は取扱機関の端数処理を経た明細の金額です。
  • この試算は利子の計算方法を確かめるためのものです。他の商品より有利かどうかを示すものではありません。金利が変わる局面での比べ方は「金利上昇局面の高配当株:債券・預金との使い分け」も参考にしてください。

利払日が休業日のとき、受け取りはいつになるか

財務省によると、利払日が銀行休業日にあたる場合、利子は翌営業日に支払われます。第199回の初回利払日である2027年5月15日は土曜日なので、暦の上では翌営業日の5月17日(月)の支払いとなる見込みです。ただし、口座に入金が反映される日は取扱機関で確かめてください。

一方、財務省の計算式は「初回利払日の6ヵ月前の日」と「1/2」を基準にしています。支払いが翌営業日にずれた日数を加える項はありません。

受取日を確認するときは、次の順で見ると迷いにくくなります。

  1. 財務省の発行条件で、銘柄の発行日と利払日を確認する
  2. 発行日が15日かどうかを見て、未発行期間の有無を判断する
  3. 初回利払日が土日祝日にあたるかを確認する
  4. 取扱機関の取引明細で、税引後の入金額を確認する

株式の配当は、権利確定日から支払開始日までの流れが利子とは異なります。「配当金はいつ振り込まれる?権利確定日から支払開始日までの流れ」とあわせて読むと、両者の違いがつかみやすくなります。

まとめ

  • 個人向け国債で受け取るのは配当ではなく利子です。利率は年率で、2回目以降に1回で受け取る額は「額面×年率÷2」(税引前)です。
  • 初回利子は、2016年4月募集分から発行日〜初回利払日の日割りになりました。発行日が15日以外なら、未発行期間の日数分だけ減ります。
  • 2026年10月募集分は発行日が11月16日で、未発行期間は1日です。額面100万円の変動10年 第199回の場合、初回利子は税引前で約10,193円と試算できます。
  • 利払日が休業日なら支払いは翌営業日です。税金20.315%が差し引かれた実際の入金額は、取扱機関の明細で確認してください。
  • 変動10年の2回目以降の利率は半年ごとに見直されるため、将来の受取額は確定していません。金利動向・中途換金調整額・換金できる時期の制限もふまえ、ご自身の資金計画に合うかを判断してください。

本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

出典

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本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、正確性・完全性を保証するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

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