この記事の結論
  • 結論:終身で確実に増やしたいなら国民年金基金、運用で増やす可能性に賭けたいならiDeCo、両方の性質が欲しいなら併用が選択肢になる。
  • 理由:国民年金基金は給付額が加入時に確定する終身年金、iDeCoは運用実績次第で受取額が変動する制度であり、リスクの取り方が根本的に異なる。
  • 確認点:掛金の上限は両制度合算で月6万8,000円(2027年2月引落分から7万5,000円に引き上げ予定)。配分は自分の家計と老後の必要保障額から逆算する。

フリーランスや自営業者は会社員と違って厚生年金がないため、老後資金を自分で積み増す必要があります。その代表的な選択肢が国民年金基金とiDeCo(個人型確定拠出年金)です。どちらも国民年金基金連合会が実施・運営に関わる制度ですが、仕組みは大きく異なります。本記事では両制度の公式資料をもとに、掛金上限・受取方法・税制の違いを整理し、比較検討の判断材料を示します。

なお、国民年金の基礎保障については国民年金と付加年金:フリーランスの基礎保障で解説しています。税金・保険・資金繰りを含めたフリーランスのお金全体の管理はフリーランスのお金管理:税金・保険・資金繰りの全体像を参照してください。

国民年金基金とは:終身で受け取れる公的な上乗せ制度

国民年金基金連合会によると、加入対象は「日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、自由業、学生などの国民年金の第1号被保険者」および60歳以上65歳未満や海外居住で国民年金に任意加入している人です(2026年8月18日確認)。厚生年金加入の会社員(第2号被保険者)やその被扶養配偶者(第3号被保険者)、国民年金保険料の免除を受けている人は加入できません。

給付は老齢年金と遺族一時金の2種類で、老齢年金の型は終身年金A型・B型、確定年金Ⅰ型〜Ⅴ型の7種類があります。1口目は終身年金(A型またはB型)から選択する必要があり、2口目以降は終身年金・確定年金のいずれも選べます。何口加入するかによって将来の受取年金額が決まる仕組みです(出典:国民年金基金連合会「給付の種類」、2026年8月18日確認)。

終身年金を選べば、何歳まで長生きしても年金額が確定した水準で受け取れる点が最大の特徴です。一方で、加入後に受取額は増えず、途中解約もできないため、資金拘束のリスクは十分に理解しておく必要があります。

iDeCoとは:運用実績で受取額が変わる制度

iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会が運営)によると、iDeCoの加入資格は国民年金の被保険者区分で分かれており、フリーランスや自営業者は「20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、フリーランス、学生」を含む第1号被保険者に該当します(2026年8月18日確認)。

iDeCoは掛金を自分で選んだ投資信託や定期預金などに拠出し、運用実績に応じて将来の受取額が変動する制度です。国民年金基金のような「終身で確定額を受け取る」保証はなく、運用がうまくいけば掛金以上に増える可能性がある一方、相場下落局面では元本を下回るリスクもあります。増える可能性と減る可能性の両方があることが、国民年金基金との最大の違いです。

掛金上限の比較:両制度は合算で管理される

ここが最も誤解されやすいポイントです。国民年金基金連合会によると、国民年金基金の掛金上限は月額6万8,000円で、「個人型確定拠出年金にも加入している場合は、その掛金と合わせて6万8,000円以内」と定められています(出典:国民年金基金連合会「掛金について」、2026年8月18日確認)。つまり国民年金基金とiDeCoは別々に上限6万8,000円まで拠出できるのではなく、合算で6万8,000円が上限です。

項目国民年金基金iDeCo(第1号被保険者)
掛金上限(合算)月6万8,000円(両制度合計)同左
受取額加入時に確定(終身年金の場合)運用実績で変動
途中解約原則不可原則60歳まで引き出し不可
運用の手間不要自分で商品選択・見直しが必要

なお、国民年金基金連合会の情報では、令和8年12月分掛金(令和9年2月引落分、つまり2027年2月)から上限額が6万8,000円から7万5,000円へ引き上げが予定されています(2026年8月18日確認)。今後の掛金配分を検討する際は、この改正時期も踏まえておくとよいでしょう。

また、国民年金に月400円の付加保険料を納めている場合、その分も含めて上限が管理される点に注意が必要です。付加保険料の仕組みについては国民年金と付加年金:フリーランスの基礎保障で詳しく解説しています。

併用は可能:配分の考え方

国民年金基金とiDeCoは同時に加入し、月6万8,000円(改正後は7万5,000円)の枠内で自由に配分できます。判断の目安として、以下の観点が挙げられます。

  • 長生きリスクに備えたい場合:終身年金である国民年金基金の比重を高める
  • インフレや資産成長の恩恵を取り込みたい場合:iDeCoで運用商品を選び、比重を高める
  • 資金拘束への抵抗感が強い場合:まずは少額から始め、家計の余裕を見ながら配分を調整する

どちらも掛金は全額が所得控除の対象になる点は共通していますが、実際の控除額や受取時の課税関係は個々の所得状況や受取方法(一時金・年金)によって異なります。正確な税額は税理士や国税庁の資料で確認することをおすすめします。

判断条件とリスク

国民年金基金は「確定額を終身で受け取れる安心感」がある一方、インフレで実質価値が目減りするリスクや、中途解約できない資金拘束リスクを抱えています。iDeCoは「運用次第で増やせる可能性」がある一方、相場変動により受取額が減るリスクや、自分で商品を選び続ける手間があります。どちらが優れているという単純な結論はなく、老後に必要な保障額、リスク許容度、他の資産形成手段(つみたてNISAなど)とのバランスで配分を決めることが重要です。

フリーランスのお金全体の管理方針についてはフリーランスのお金管理:税金・保険・資金繰りの全体像も参考にしてください。

まとめ

国民年金基金とiDeCoは、フリーランスの老後資金づくりにおいて共に掛金が全額所得控除される有力な制度ですが、性質は対照的です。国民年金基金は加入時に受取額が確定する終身年金型、iDeCoは運用実績で受取額が変わる制度で、両者の掛金上限は合算で月6万8,000円(2027年2月引落分から7万5,000円に引き上げ予定)です。長生きリスクに備えたいか、運用による資産成長を狙いたいかという自分の優先順位に応じて、単独加入か併用かを検討しましょう。本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

出典

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