この記事の結論
  • 結論:フリーランスの所得税は「収入」ではなく、経費と控除を差し引いた課税所得に5%〜45%の累進税率がかかる
  • 理由:日本の所得税は超過累進課税であり、税率の区分を超えた部分にだけ高い税率が適用されるため、稼ぐほど手取りが逆転することはない
  • 確認点:税率表・基礎控除・青色申告特別控除は改正が続いているため、申告前に国税庁の最新資料で必ず確認する

フリーランスとして独立すると、会社員時代は給与から天引きされていた所得税を、自分で計算して確定申告する必要があります。このとき最初につまずきやすいのが「税率が何%なのか分からない」という点です。答えは一つではなく、日本の所得税は累進課税という仕組みで、課税所得の大きさに応じて5%から45%まで段階的に税率が上がります。本記事では、国税庁の一次資料に基づいて、フリーランス(個人事業主)が押さえるべき所得税の計算構造を整理します。

所得税は「収入」ではなく「課税所得」にかかる

まず大前提として、所得税は売上(収入)にそのままかかるわけではありません。計算は次の3段階で進みます。

  1. 収入 − 必要経費 = 事業所得(青色申告なら、ここからさらに青色申告特別控除を差し引く)
  2. 事業所得 − 所得控除 = 課税所得
  3. 課税所得 × 税率 − 控除額 = 所得税額

たとえば売上600万円でも、経費が150万円、各種控除が150万円あれば、税率がかかるのは残りの300万円です。課税所得をどれだけ圧縮できるかが、フリーランスの税負担を左右する最大のポイントになります。

なお、令和19年(2037年)分までは、算出した所得税額に対して復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が上乗せされます(国税庁タックスアンサーNo.2260、令和7年4月1日現在法令等)。

累進課税の仕組み:速算表と「超過累進」の誤解

国税庁が公表している所得税の速算表(令和7年4月1日現在法令等)は次のとおりです。

課税される所得金額税率控除額
1,000円〜194万9,000円5%0円
195万円〜329万9,000円10%9万7,500円
330万円〜694万9,000円20%42万7,500円
695万円〜899万9,000円23%63万6,000円
900万円〜1,799万9,000円33%153万6,000円
1,800万円〜3,999万9,000円40%279万6,000円
4,000万円以上45%479万6,000円

「区分を超えると全部に高い税率」は誤解

よくある誤解が「課税所得が330万円を超えると、全体に20%かかって手取りが減る」というものです。実際の所得税は超過累進課税で、330万円を超えた部分にだけ20%が適用されます。速算表の「控除額」は、この段階計算を一度の掛け算で再現するための調整額です。

実際に計算すると、課税所得329万9,000円の所得税は約23万2,400円、330万円ちょうどでは23万2,500円と、境界をまたいでもほぼ連続的に増えるだけです。「稼ぎすぎると損」という心配で仕事量を調整する必要はありません。

計算例:課税所得400万円のフリーランス

  • 所得税:400万円 × 20% − 42万7,500円 = 37万2,500円
  • 復興特別所得税を含む:37万2,500円 × 1.021 = 約38万円

このケースで課税所得に対する実際の負担率は約9.5%であり、「税率20%」という表面の数字より低くなります。この実効税率限界税率(追加で1万円稼いだときにかかる税率)の違いを理解しておくと、節税策の効果を正しく見積もれます。

課税所得を減らす主な控除

基礎控除:令和7年分から最大95万円に拡大

基礎控除は原則すべての納税者が使える控除です。税制改正により、令和7年分以後は合計所得金額132万円以下の場合で95万円に引き上げられました(改正前は48万円)。所得が増えると控除額は段階的に縮小し、合計所得金額2,350万円超ではさらに逓減して2,500万円超でゼロになります(国税庁タックスアンサーNo.1199、2026年7月31日閲覧)。令和7年分・令和8年分には所得帯に応じた上乗せ措置もあるため、自分の所得水準でいくらになるかは申告年分ごとに国税庁の資料で確認してください。

社会保険料控除:国民年金保険料は全額対象

フリーランスが自分で納める国民年金保険料は、月額17,510円(令和7年度)、17,920円(令和8年度)です(日本年金機構「国民年金保険料」、2026年7月31日閲覧)。年間では約21万円になりますが、納めた全額が社会保険料控除として課税所得から差し引けます。国民健康保険料も同様に全額控除の対象です。

青色申告特別控除:最大65万円

事業所得の計算段階で使えるのが青色申告特別控除です(国税庁タックスアンサーNo.2072、令和7年4月1日現在法令等)。

  • 65万円:複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書を期限内申告で添付したうえで、e-Tax申告または電子帳簿保存を行う
  • 55万円:複式簿記・期限内申告の要件は満たすが、e-Tax申告等をしない場合
  • 10万円:上記の要件を満たさない青色申告者

累進課税のもとでは、控除の節税効果は「控除額 × 限界税率」で決まります。限界税率20%の人なら65万円の控除で所得税だけで13万円の負担減になり、税率が高い人ほど効果が大きくなります。

会社員との違いと、フリーランスが取るべき行動

会社員は給与所得控除と年末調整で税額計算がほぼ自動化されていますが、フリーランスは経費の記帳から控除の適用まで自分で管理しなければ、本来払わなくてよい税金を払うことになります。手取りや保障の具体的な差は会社員とフリーランスの手取り・保障・経費の比較記事で試算しています。

実務上の行動としては、次の3点が出発点です。

  • 開業届と青色申告承認申請書を提出する:承認がなければ最大65万円の控除は使えない
  • 会計ソフトで日々記帳する:複式簿記の要件を満たしつつ、経費の漏れを防ぐ
  • 納税資金を先に取り分けておく:所得税は翌年3月の確定申告で一括納付(または振替納税)となるため、資金繰りと切り離せない

税金だけでなく社会保険や資金繰りも含めた全体設計は、フリーランスのお金管理の全体像をまとめた記事で解説しています。

なお、税率や控除額は毎年のように改正されます。特に基礎控除は令和7年分改正で金額と所得区分が大きく変わったばかりであり、古いWeb記事の数字をそのまま使うリスクがあります。申告前には必ず国税庁の最新ページで確認し、判断に迷う場合は税務署の相談窓口や税理士に確認してください。

まとめ

  • フリーランスの所得税は、収入から経費と控除を引いた課税所得に対して5%〜45%の累進税率がかかる(令和7年4月1日現在法令等)
  • 超過累進課税のため、税率区分を超えても超えた部分にしか高い税率はかからず、「稼ぐと損」にはならない
  • 基礎控除(令和7年分以後は最大95万円)、社会保険料控除、青色申告特別控除(最大65万円)を正しく使うことが、合法的に税負担を下げる基本になる
  • 制度は改正が続いているため、申告年分ごとに国税庁・日本年金機構の一次情報で最新の金額を確認する

本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

出典

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本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、正確性・完全性を保証するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

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