この記事の結論
  • 結論:確定申告書の「予定納税額」欄には、実際に払ったかどうかに関係なく、通知書の第1期分と第2期分の合計額を書きます。減額が承認された人は、承認後の金額を書きます。
  • 理由:予定納税はその年の所得税の前払いです。確定申告では、申告書で計算した年税額から予定納税額を差し引いて過不足を精算します。
  • 確認点:通知書(または減額承認通知書)の合計欄、納付記録、源泉徴収税額の3つを別々に照合します。源泉徴収税額やふるさと納税の寄附額を予定納税額欄に混ぜてはいけません。

予定納税をした年の確定申告では、「いくら払ったか」ではなく「いくら通知されたか」を基準に申告書を書きます。ここを取り違えると、納める税金が多すぎたり少なすぎたりします。この記事では、事業所得に加えて配当や株式の譲渡益などの投資収入もある個人事業主に向けて、通知額と申告書をどう照合するかを国税庁の資料で確認します。

予定納税の対象になる条件や納付時期の全体像は「予定納税の対象条件・時期・減額申請」で詳しく取り上げています。

予定納税は「前払い」で、確定申告で差し引いて精算する

国税庁タックスアンサーNo.2040(令和8年6月1日現在法令等)によると、予定納税は、5月15日時点で確定している前年分の所得や税額をもとに計算した予定納税基準額が15万円以上になる人が、その年の所得税と復興特別所得税の一部を前もって納める制度です。

精算の方法も同じページで示されています。翌年の確定申告で、申告書で計算した税額から予定納税額を差し引き、過不足を精算します。

項目内容(令和8年6月1日現在法令等)
対象予定納税基準額が15万円以上の人
通知原則としてその年の6月15日までに、税務署長が書面またはe-Taxで通知
各期の金額原則として予定納税基準額の3分の1ずつ(特別農業所得者は2分の1を第2期に1回)
第1期分7月1日〜7月31日
第2期分11月1日〜11月30日
精算翌年の確定申告で、年税額から予定納税額を差し引く

令和8年分の案内資料では、振替納税を使っていない人の第2期分の納付期間は「令和8年11月2日から同年11月30日まで」とされています。11月1日が日曜日にあたるためです。

令和8年分は基礎控除の見直しに注意

令和8年分の予定納税額は、令和8年度税制改正による基礎控除の見直しを反映していません。国税庁は、見直しは確定申告のときに反映され、年間の所得税額で精算されると説明しています。そのため令和8年分は、前払いした額と最終的な年税額の差が、前年までと違う形で出る可能性があります。差額がいくらになるかは人によって違うので、確定申告の計算で確かめてください。

申告書に書くのは「通知書の合計欄の金額」

いちばん間違えやすいのは、申告書に書く金額の基準です。確定申告書等作成コーナーの「予定納税とは」(令和7年分よくある質問)は、入力ルールを次のように示しています。

  • 税務署から通知された予定納税額について、実際に納めたかどうかにかかわらず、第1期分と第2期分の合計額(通知書の「予定納税額の合計欄」の金額)を入力する
  • 減額申請をして減額承認の通知書を受け取った人は、減額承認後の予定納税額を入力する
  • 予定納税額の通知を受けていない人は入力しない

令和8年分の国税庁資料にも、確定申告では通知書の「合計」欄の金額を確定申告書の「予定納税額」欄に書くよう明記されています。申告しなかった場合は「納める税金が過大に計算されてしまいます」とも書かれています。

未納の分があっても欄の金額は変えない

第2期分を払い忘れていても、欄に書く金額は通知額の合計のままです。申告書は「通知された予定納税額を年税額から差し引く」仕組みなので、払っていない分は確定申告とは別の未納税金として残ります。納期限を過ぎた予定納税には、期限の翌日から納付日まで延滞税がかかります(No.2040)。振替納税で残高が足りず引き落とされなかった場合も同じです。

未納を申告書の金額で埋め合わせるのではなく、未納分を納付して終わらせると考えると整理しやすくなります。

減額申請をした年の照合

減額申請が承認されると、税務署から承認通知書が届きます。この場合、申告書に書くのは承認後の予定納税額です。最初の通知書と承認通知書の両方が手元にある人は、新しい方の金額を使っているか確認してください。減額申請の期限や見積額の考え方は「予定納税の減額申請:今年の所得が下がりそうなときの手順と期限」にまとめています。

源泉徴収税額と二重に計上しない

源泉徴収のある報酬を受け取っている個人事業主は、前払いした税金が2種類あります。取引先が天引きした源泉徴収税額と、自分で納めた予定納税額です。どちらも確定申告で年税額から差し引きますが、記入する欄は別々です。

作成コーナーのよくある質問は、給与や年金などの源泉徴収税額、ふるさと納税の寄附額、住民税や健康保険料など、予定納税額以外の金額を予定納税額欄に入力しないよう注意を促しています。

前払いの種類確認する書類申告書での扱い
予定納税予定納税額の通知書(減額承認通知書)「予定納税額」欄に通知書の合計額
報酬の源泉徴収支払調書・取引先の明細第二表「所得の内訳(源泉徴収税額)」などに記入し、源泉徴収税額として差し引く
住民税・国民健康保険料各通知書予定納税額欄には入れない

源泉徴収分の精算方法は「源泉徴収される報酬と確定申告での精算方法」で解説しています。

投資収入がある人が見ておきたい点

No.2040によると、前年分の所得に分離課税の所得(上場株式等の配当所得等は除く)や譲渡所得、一時所得、雑所得などが含まれる場合は、それらがなかったものとして予定納税基準額を計算します。さらに、源泉徴収税額(これらの所得にかかる分を除く)を控除します。前年に株式の売却益などがあった人は、前年の申告納税額と予定納税基準額が一致しないことがあります。

ただ、確定申告で予定納税額欄に書くのが通知書の合計額であることは変わりません。基準額の内訳を自分で計算し直す必要はなく、通知書に書かれた金額をそのまま使います。

申告前の照合手順

申告書を作る前に、次の順番で書類を照らし合わせると取り違えを防げます。

  1. 通知書を確認する:「予定納税額の通知書」の合計欄を見ます。e-Taxを使っている人は、メッセージボックスの「確定申告等のお知らせ」でも確認できます(令和7年分よくある質問)
  2. 減額承認の有無を確認する:承認通知書があれば、承認後の金額に置き換えます
  3. 納付記録を確認する:第1期分と第2期分を期限内に払ったかを、領収証書や口座の引落記録で確かめます。振替納税では領収証書が発行されないので、口座の記録で確認します
  4. 源泉徴収税額を分けて集計する:支払調書などから集計し、予定納税額とは別の欄に入れます
  5. 申告書の最終段を見る:年税額から予定納税額を差し引いた結果、「納める税金」と「還付される税金」のどちらになるかを確認します

還付になるか追加納付になるかは、その年の所得、控除、源泉徴収税額によって決まります。予定納税をしたから必ず還付される、ということはありません。手元資金への影響は、申告書で計算した結果をもとに見積もってください。

対象年分の様式を確認する

国税庁の「確定申告書等の様式・手引き等」で公開されている最新の様式は、令和7年分の確定申告用の「申告書第一表・第二表【令和7年分以降用】」です(2026年10月時点)。令和8年分の申告では、その年分向けの手引きと記載例が公開されたら、欄の名前と位置を改めて確認してください。

まとめ

  • 予定納税はその年の所得税の前払いで、確定申告で年税額から差し引いて精算します
  • 申告書の「予定納税額」欄には、実際に払ったかどうかにかかわらず通知書の合計額を書きます。減額が承認された人は承認後の金額を書きます
  • 未納の分は申告書の金額で調整せず、別に納付します。期限を過ぎると延滞税がかかります
  • 源泉徴収税額、ふるさと納税の寄附額、住民税や健康保険料を予定納税額欄に入れてはいけません
  • 令和8年分の予定納税額は基礎控除の見直しを反映していません。見直しは確定申告で精算されます

本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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